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創造神の領域を利用する方法
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絶対安全な「創造神の領域」に隠れたり、全知全能である「創造神の力」を利用して危難から逃れる方法はいくつかあります。たとえばケルト(ガリア)人は創造神の象徴として「指輪」を信奉したので、この世から隠れる(「透明になる」こと)ためには「魔法の指輪」を用います。一方「指輪」信仰は「帯」信仰がもとですので、ゲルマン人の英雄物語では「魔法の指輪」より「魔法の帯」を用います。
「帯」が神聖視されたのは「人間が初めて身に着けた衣服だから」という説と、「帯を着けないと腹に力が入らず、古代人は帯なしには歩けなかったから」という説との二通りがあります。人類最初の衣服である「帯」は、日本語的には「ふんどし」と書きたいところです。ゲルマン人の「指輪」は指を守る「指用の帯」だったため、先行する「帯」の信仰をすべて引き継ぎます。古代におけるこの帯・指輪信仰が、後代「指輪占い」を生み出しました。
ひるがえって、妖精か小人族に貰った特別な「指輪」や「帯(後代になるとマントに変わる)」を頼らず創造神の力を利用する、もっとも簡単な方法は「自分自身が〝中空〟に行く」ことです。大国主神の物語を思い出していただきたいのですが、「創造の力」を娘婿に委譲するにあたり、〝創造神〟須佐之男命はこう言祝(ことほ)ぎます。
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宇迦の山に太く頑丈な宮柱を立て、
高天原(たかまのはら、「天」のこと)へ突き出るほど
高い千木(ちぎ、屋根の装飾)をそびやかした宮に、
ふたりで鎮座するのだぞ。
【日本の神話】須佐之男命の言祝(ことほ)ぎ
『古事記』上巻、根の堅州国(ねのかたすくに)
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒『古事記』上巻、根の堅州国(ねのかたすくに)
「天に突き出るほど屋根の高い宮」に住めと言うのですが、この場所は考えてみれば「天」そのものではありません。屋根がちょっと出れば良いので宮の本体は「天」の少し下、頑丈な柱で持ち上げられた高床式の住居のはずなので地面からは「浮いている」宮を指すと思われ、つまり「〝中空〟にある宮に住め」と言っているのです。
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