2019年4月5日金曜日

再生させる小枝の願い_「神話と占い」(その25)_






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再生させる小枝の願い
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『ハムレット』のオフィーリアや『隅田川』の妙亀、『お夏狂乱《お夏清十郎》』のお夏が小枝を手にしたのは、作家たちが彼女らの絶望を表現しようとしたからです。

復讐心にとり憑かれ自分自身を見失った許嫁ハムレットの愛や、誘拐され隅田川の畔で死んだ息子梅若丸、処刑された愛人清十郎《井原西鶴版》をもの狂いになって追い求めながら、「(愛した人は)もはやこの世では見つけられない」のを彼女たちは心のどこかで知ってます。だからこそ超常的な「蘇り」の力を期待し、無意識に小枝を折り取るのです。そうして最後に、願ったものとの劇的な再会を果たします。

川で溺れ死んだオフィーリアの墓前に泣き崩れたハムレットは、間もなくその兄の剣で恋人のもとへ運ばれ、妙亀は柳の下に葬られた梅若丸の幽霊に出会い子細を知って隅田川へ入水、お夏は清十郎の墓に行き当たり、尼になってその菩提を弔うのです。

この「〝創造の〟小枝」信仰こそが、「枝占い」(ダウジング)の起源です。それはこの世における〝跳躍〟を期待する占いであり、「創造神の力」を借りて失ったものを取り戻したり、新しく生み直そうとする「小枝の願い」です。



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預言者エリシャの仲間が、「ヨルダンから木を伐り出して、もっと広い家を建てます。今からみんなで出かけますので、どうかあなたもついて来てください」と頼んだので、エリシャは皆について行った。


するとヨルダンでの伐採中、ひとりが鉄の斧を川に落とし「あァ、あれは借り物なのに!  」と声をあげた。エリシャは何処に落としたか尋ね、男が指し示した場所へ、切り取った枝を投げ込んだ。すると鉄の斧が、水面に浮かび上がった。

【ユダヤ教】再生させる奇跡の杖
『旧約聖書』列王記下六「エリシャの奇跡」
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