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王権を象徴する杖
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同書のモーセに預言者らしい振る舞いはなく、結束力のない漂流民の中に傑出した指導者が現われ、苦難の末に王権を確立させる様子が確認できるのみです。
そもそも古代においては「予言神」という言葉が「至高神」そのものを表したように、「予言者(預言者)」は「王(神の予言を預かるこの世の代表者)」の同意語でした。

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一番多い伝承の一致した意見では、エジプト全土に皮膚がただれる疫病が流行ったとき、ポッコリス王(前八○○頃、第二四王朝テフナクト一世)は神託に従い、神々に疎まれている人々を国中から集め荒野に捨てさせたという。棄てられた民らは嘆き悲しむだけで呆然としていたが、仲間のひとりモイセスが「我々は神にも人にも見捨てられたのだから、自分たち自身を信じ、自分たち自身で現在の悲惨から立ち上がらなければならない」と言った。
人々は同意したが、実際には何をどうしたら良いかわからず、群れをなして行きあたりばったりに進んだ。しかし水場を見つけることができずやがて皆が散らばって倒れ、あとは集団死を待つだけという身の上になった。
そのとき、野生のヤギの群れが横切ったので、モイセスはひとりでそのあとを追って行き、崖を越え、豊かな水源を見つけて帰って来た。こうして棄民たちは生命を永らえ、その後六日歩いて耕作地を見つけた。七日目、耕作地の住民らを追放して土地を奪うと、彼らはそこに町を建設した。
【ローマ人の記録】タキトゥス『歴史』第五巻 ユダエア
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