2019年3月23日土曜日

女神アプロディーテと美少年アドニス_「神話と占い」(その12)_







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女神の「輪付き形十字架」と、男神(おがみ)の「T字形十字架」
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本来「十字架」は女神の子宮を表す「輪」の下に男根=〝世界軸(「生命の木」とも)〟を表すT字の木が付いた「輪付き形十字架(Ankh=アンク)」が原型で、この図象は女性と男性の「結合」による、「生命(の誕生)」と「豊穣」とを意味します。


「女神の十字架」とも呼ばれる「輪付き形十字架」は、女神の聖木(松、樫、葡萄、杉、アカシアが多い)「松」の小枝や「葦」などの草を編んで作られ、宇宙の「再生(穀物の芽生え)」を促す目的で、穀物女神デメテルとディオニュソス、運命女神キュベレーとアッティス、バビロニアの豊穣女神イシュタルなどの祭儀に登場し、祝詞(のりと)をあげて燃やされました。


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「輪」のない「T字形十字架(Tau.cross=タウ・クロス)」は、畑に立てたり木の枝に吊るすなど農地の魔除け・鳥除けとしても使われます。T字形十字架は「両腕を左右に伸ばし、両足を閉じた男性」を模したと言われる、一種の「人形(ひとがた)」です。

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一方、同じ長さの二本の木が交差する+形の二元論的「ギリシア十字(Greek.cross=グリーク・クロス)もよく普及しており、これが「T字形十字架」と融合した結果、後代キリスト教に取り入れられる「ラテン十字架(Latin.Cross=ラテン・クロス)」になりました。



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同種の、交差する二本の木が四方へ延びる×形「ギリシア十字(ケルトでは「ヴォータンの十字」)は古代人が駆使した「数秘術(ピタゴラス教団の数秘術、カバラの数秘術)」のひとつで、それはセム語族(エジプト人、ユダヤ人、アラビア人など)と、インド・ヨーロッパ語族(インド人、イラン人、ラテン人、ギリシア人など)が共通して神聖視した「4」の寓意であり、「4」は現世を支配するため設けられた天界の「四つの門(火、水、地、気、の四大、もしくは四方)」や「黄道十二宮(十二星座のこと。4(四大)×3(宇宙秩序)=12)」、「神を表す聖四文字(テトラグラマトン、「YHWH」「JHVH」など)」を意味します。

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また、前述のとおり回転させれば太陽となり、「宿命の車輪(オルペウス教的には「因果の車輪」=原罪)」を表します。

IX



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呪い殺して没薬の木に変えたはずの女が、最期の一念で樹皮の中に遺児アドニス(セム語で「主=アドナイ」という意味)を産んだと知った愛欲女神アプロディーテは、処分に困りその養育を冥府女神ペルセポネに委託した。

やがて美しく成長したアドニスにアプロディーテは恋をし、同じく彼に心を奪われたペルセポネとのあいだで取り合いになる。話し合いの末アドニスは一年の三分の一(冬)を冥府で過ごし、残りの時間をアプロディーテと過ごすようになった。ところがアドニスは男同士何人かで狩りに出かけ、猪(野生の豚)に突かれて死んでしまったので、アプロディーテの手からは結局永遠に失われた。




【ギリシアの神話】女神アプロディーテと美少年アドニス
アポロドロス「神話」アッティカの諸王

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