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ミトラ教の入信儀式
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前の記事では、ゾロアスター教一員としてのミトラ神への、牧歌的な賛歌を紹介しました。
しかしローマ帝国支配下のアジア地域で爆発的な人気を誇ったゾロアスター教分派ミトラ教には正典がなく、実質秘密結社に過ぎなかったゝめ、その実体は現存する洞窟内神殿のレリーフから解読するしかありません。そこで行われていたイニシエーションは、おおよそ次のように類推されます《ジョン・R・ヒネルズ『ペルシア神話』、井本英一訳》。
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(1)
ミトラ教の考えでは、人間の魂は生まれるときに天界から堕ちて人間の体に入り込む。そして堕ちて生まれた魂は天界へ自ら帰還する必要がある。祭儀の目的は、段階を経ながら魂を上昇させることにある(鳥→花嫁→兵士→獅子→ペルシア人→太陽の使者→父)。だから入信儀式は地下の洞窟で行われる。
(2)
入信者は式に参加するにあたり、地図であり暦でもある星座の図象(牡牛座→海蛇座→子犬座→大犬座→獅子座→コップ座→乙女座→鳥座→蠍座)と、魂の上昇の道である太陽の軌道を記した書付を渡される。
(3)
それから裸になって拘束されたり開放されたりして魂を上昇させ、世界の浄化に貢献する。
(4)
位階を上級へ進めるためには問答の試験がある。
(5)
いかなる女性も入信できない。
【ローマの遺跡】ミトラ教の入信儀式(イニシエーション)
ジョン・R・ヒネルズ『ペルシア神話』
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ローマでは毎年冬至の日に特別な祭りが開催され、輝きを失った太陽を復活させるため歳神(としがみ)としてのミトラが招来(しょうらい)されました。松明(まつあかり)の炎の中ミトラは信者と祭司に初穂を振って迎えられ、生誕するや月の女神の使徒獣である雄牛を屠(ほふ)り、その生き血で太陽を復活させます。歳神ミトラは「ソル・インウィクトゥス=不滅の太陽」と讃(たた)えられました。
キリスト教よりもオルペウス教に似ているように感じるのは、わたしだけでしょうか。
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