2019年3月30日土曜日

ローマ建国神話、漂白のアイネイアース_「神話と占い」(その19)_







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漂白のアイネイアース
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木馬の奸計によって焼け落ちるイリオン(トロイアの王城があった市)から逃げ出したトロイア王子アイネイアースは、生き残った市民たちを引き連れ航海を続けるが、トロイア(現在のトルコ)を滅ぼした女神ユノー(ギリシア名ヘラ)の呪いが解けず思うように移住先が見つけられなかった。やがて守り神ペナテース(ローマ人の先祖霊を総称する神)より「約束の地はイタリア」と告げられ一向は一路イタリアへ舵をとる。ところが、その沿岸にはトロイアの敵方ギリシア人が先に移住していた。そのためアイネイアースたちは遠回りを余儀なくされる。


その後も女神の呪いのせいで散々な目に遭い、すぐ目の前にある約束の地に到達できない亡命者たちは、だんだん意気消沈しイタリア移住の意欲が薄れていった。

そんなとき、落ち着く先も決まらぬまま亡くなったアンキセス公(アイネイアースの父、女神ウェヌスとのあいだにアイネイアースをもうけた美男子)の亡霊が息子アイネイアースの前に現れ「諦めないでイタリアへ向かいなさい。そうして巫女シビュレーの力を借りて、冥界にいるわたしに会いに来なさい。トロイア人の未来について、わたしが詳しく説明しよう」と、告げる。意を決したアイネイアースは再び勇気を奮い起こしてイタリアへ出航、今度は首尾良くクマエ(イタリア)の港に辿り着いた。


【ローマ建国神話】漂白するトロイア王子アイネイアース
ウェルギリウス『アイネイアース』
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