魔女イメージの原型としては、
ロドスのアポローニオス
『アルゴー船の冒険
(アルゴナウティカ)』王女メディアや
ホメーロス『オデュッセイア』魔女キルケー、
エウリピデス『ディオニュソスの信女
(バッケー)』などに登場する、
ディオニュソス神の信者であるバッケーたちが知られます。
王女メディアは惚れた男イアソンを逃がすため弟を殺し、イアソンが浮気をすると産んだ子どもを殺し、妻がいると知っていながらイアソンに結婚を申し込んだ、恋がたきを殺します。
魔女キルケーは好きな男を魔法でとりこにしてから、飽きたら家畜に変身させます。
メディアとキルケーのような「悪」い女にくらべ、ディオニュソスの信者バッケーたちは葡萄酒でハイになって人を殺すことはあっても、何かを恨んでいたり復讐しようとする「悪心」を抱えているわけではありません。ただ毛皮を着て山に棲み、月夜の晩に走り回るだけです。そうして大きな岩をひとまたぎで飛び越え、月を背景に夜の空に浮かび上がると書かれています。
月を背景に飛翔する魔女イメージの原型は、バッケーです。
魔女の箒
(ほうき)も、バッケーが持っていたテュルソスという、木蔦
(きづた)を巻いた霊杖がもとだと言われます。
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